船橋市は27日、市内高齢者介護施設において、結核の集団感染が発生していたことを発表した。

これまで発病者5人、感染者9人が確認されているが、接触者の健診は実施済みであり、発病者・感染者の治療がすでに行われていることから周囲に感染させることはないとしている。

昨年7月に最初に診断

昨年7月、今回の集団感染の最初の患者(80代)が肺結核と診断された。その後、断続的に感染者及び発病が確認され、今年6月~9月にかけて1人が発病、8人の感染が確認された。

感染の経緯

感染の経緯は次の通り。

  • 令和2年7月:80代の患者が肺結核と診断され、届け出。長期にわたり利用していた高齢者介護施設の接触者調査が行われる。
  • 令和2年10~11月:接触から2か月後の接触者健診を実施、職員1名の感染を確認
  • 令和2年11月:最初の患者と接触があったが、上記接触者健診の対象外であった利用者1名の発病が確認される
  • 令和2年12月~令和3年3月:接触者調査の対象者を拡大し、健診を実施
  • 令和3年3月~4月:最初の患者と同時期に介護施設を利用していた利用者2名の発病が確認
  • 令和3年5月:令和2年12月から拡大した接触者調査で利用者1名の発病を確認
  • 令和3年6~9月:接触者調査の対象者をさらに拡大、新たに利用者1名の発病、利用者8名の感染を確認
  • 令和3年9月:最初の患者を発端とする結核の集団感染事例として判断し、厚生労働省に報告

最初の患者が感染源となり、その患者以外に14人以上に結核を感染させた場合を結核集団感染と厚労省では定義し、報告を求めている。(平成19年3月29日付け健感発第0329002号厚生労働省健康局結核感染症課長通知

今回の感染では14人が感染、うち5人が発症している。

二度にわたって調査対象が拡大

今回のケースでは、接触者調査の対象者が、令和2年12月と令和3年6月、二度にわたって調査対象が拡大している。しかも、二度目の調査対象拡大後に一人の発病と8人の感染が確認されている。令和2年7月の届出からほぼ1年が経ってから過半数の感染が確認されたことになる。最初の調査対象が適切だったのか疑問が残る。

また、「接触者調査により対象者を選定し、既に健診を実施していること、発病者及び感染者は既に治療を行っていることから、周囲に感染させることはありません。」と市は発表している。しかし、二度にわたって調査対象が拡大した経緯を考えると、こちらも疑問を持たざるを得ない。

2週間以上咳が続く場合は結核を疑う

とはいえ、結核菌は患者の咳などに含まれた結核菌を吸い込むことにより感染する病気である。食器や衣類などから感染するわけではないので、調査対象自体は限られてくる。

昨年船橋市で結核にり患した人数は70人。むやみに拡大するものではない。適切な接触者調査が行われていれば問題ないと考えられる。しかし、患者との接触の有無にかかわらず、2週間以上咳が続く場合は結核を疑う必要があるとのこと。

https://herafuna.com/wp-content/uploads/2021/08/5a224ca18cfc7698f4a106f53f1b1229.jpghttps://herafuna.com/wp-content/uploads/2021/08/5a224ca18cfc7698f4a106f53f1b1229-150x150.jpgherafuna健康行政ニュース保健所,結核,集団感染船橋市は27日、市内高齢者介護施設において、結核の集団感染が発生していたことを発表した。 これまで発病者5人、感染者9人が確認されているが、接触者の健診は実施済みであり、発病者・感染者の治療がすでに行われていることから周囲に感染させることはないとしている。 昨年7月に最初に診断 昨年7月、今回の集団感染の最初の患者(80代)が肺結核と診断された。その後、断続的に感染者及び発病が確認され、今年6月~9月にかけて1人が発病、8人の感染が確認された。 感染の経緯 感染の経緯は次の通り。 令和2年7月:80代の患者が肺結核と診断され、届け出。長期にわたり利用していた高齢者介護施設の接触者調査が行われる。令和2年10~11月:接触から2か月後の接触者健診を実施、職員1名の感染を確認令和2年11月:最初の患者と接触があったが、上記接触者健診の対象外であった利用者1名の発病が確認される令和2年12月~令和3年3月:接触者調査の対象者を拡大し、健診を実施令和3年3月~4月:最初の患者と同時期に介護施設を利用していた利用者2名の発病が確認令和3年5月:令和2年12月から拡大した接触者調査で利用者1名の発病を確認令和3年6~9月:接触者調査の対象者をさらに拡大、新たに利用者1名の発病、利用者8名の感染を確認令和3年9月:最初の患者を発端とする結核の集団感染事例として判断し、厚生労働省に報告 最初の患者が感染源となり、その患者以外に14人以上に結核を感染させた場合を結核集団感染と厚労省では定義し、報告を求めている。(平成19年3月29日付け健感発第0329002号厚生労働省健康局結核感染症課長通知) 今回の感染では14人が感染、うち5人が発症している。 二度にわたって調査対象が拡大 今回のケースでは、接触者調査の対象者が、令和2年12月と令和3年6月、二度にわたって調査対象が拡大している。しかも、二度目の調査対象拡大後に一人の発病と8人の感染が確認されている。令和2年7月の届出からほぼ1年が経ってから過半数の感染が確認されたことになる。最初の調査対象が適切だったのか疑問が残る。 また、「接触者調査により対象者を選定し、既に健診を実施していること、発病者及び感染者は既に治療を行っていることから、周囲に感染させることはありません。」と市は発表している。しかし、二度にわたって調査対象が拡大した経緯を考えると、こちらも疑問を持たざるを得ない。 2週間以上咳が続く場合は結核を疑う とはいえ、結核菌は患者の咳などに含まれた結核菌を吸い込むことにより感染する病気である。食器や衣類などから感染するわけではないので、調査対象自体は限られてくる。 昨年船橋市で結核にり患した人数は70人。むやみに拡大するものではない。適切な接触者調査が行われていれば問題ないと考えられる。しかし、患者との接触の有無にかかわらず、2週間以上咳が続く場合は結核を疑う必要があるとのこと。船橋の今と未来を見つめる総合メディア