これまでの接種状況とワクチン配分計画から考察

菅首相は7月30日、記者会見で8月末までに接種対象者の4割接種完了を目指すと発言した。そこで、船橋市の接種状況とワクチン配分計画からその実現性を考察した。

船橋市の接種キャパシティから考えて可能か

これまでの接種状況

船橋市は、7月30日現在下表のような接種状況になっている。1回目の接種が済んでいる人の割合が、ちょうど3割を超えた段階である。2回目まで完了している人は18%程度となっている。

公表日1回目接種数1回目増加数1回目接種割合2回目接種数2回目増加数2回目接種割合
7月30日181,5552,48130.99%107,0382,83618.27%

1回目の接種は8月10日までに40%完了している必要

これから8月末までに40%程度完了させるためには、その3週間前までには1回目の接種者の割合が40%に達している必要がある。つまり、8月10日までに1回目の接種が済んでいる人の割合を40%にしなくてはならない。

船橋市によると接種券を発送したのは585,770人である。その40%は234,308人となり、そこから現在までに1回目の接種が終わっている人数を除くと、234,308人-181,555人=52,753人となる。

この52,753人に対し、8月10日までにワクチン接種を終えるとすると、計11日間で接種することになるので1日あたり4,800人に接種が必要となる。

2回目の接種を8月31日までに終えるのは接種キャパシティ上は可能か

一方、2回目の接種は8月31日までに終えればよい。接種すべき人数は234,308人ー107,308人=127,270人。これを8月31までの計32日間で接種することになるので、1日あたり約4,000人に接種すべきという計算となった。

そして、1回目と2回目の接種は同時並行で進めるので、船橋市が必要な接種キャパシティは4,800人(1回目)+4,000人(2回目)=8,800人。これまでの接種の実績をみると、船橋市は7月16日に8,808人の接種を行っている(7/17公表分)。つまり、接種会場のキャパシティとしては対応できる人数であると言える。

ただしあくまでこれまでの最大値からの推測であり、実際に医療関係者が十分確保できるかは未知数である。もちろん、市の接種キャパシティは実際にはもう少し高いことも考えられるので、ここは実績から判断してキャパシティ的には対応可能と考えた。

接種予約再開がすぐに可能かが問題

問題は、ワクチン接種の予約が中断していることである。そのため、直近では1回目の1日あたり接種数が2,500件前後にとどまっており、このペースでは40%には到底届かない。早期に予約を再開することが重要だと考えられる。

ワクチン配分計画から考えて可能か

次に厚労省が発表しているワクチン配分計画から考察する。

船橋市のワクチン供給の現状と見通し

これまでの市へのワクチン供給状況は下表の通り。なお、市が「ワクチン供給状況」として示しているのはワクチン入荷時期と接種可能人数(累計)だけであり、接種可能回数や箱数はヘラルド船橋で独自に計算、集計した。また、第10クール以降は厚労省が発表している配分計画に基づいた数値であり、実績ではない。

ワクチン入荷時期令和3年6月21日~令和3年7月5日~令和3年7月19日~令和3年8月2日~令和3年8月16日~
クール数第8第9第10第11第12
接種可能人数(累計)127,530153,855176,085198,900221,715
接種可能回数(累計)255,060307,710352,170397,800443,430
接種可能回数22,23052,65044,46045,63045,630
箱数(1箱1170回分)194538(予定)39(予定)39(予定)

※箱数は、4月分については1箱975回分で計算。ワクチンは1箱に195バイアル入っていて、1バイアルあたり注射器により5回接種か6回接種ができる。現在は6回接種(195バイアル×6=1170)で計算。

※厚労省の配分計画は下記から引用

配分計画からは、40%接種完了は困難

厚労省の配分計画通りにワクチンが届いた場合、接種可能人数は8月末時点で221,715人。これは接種対象者の約38%に当たる。つまり、ワクチンが順調に届いてそれをすべて接種したとしても、40%接種は未達となる。

結論:船橋市では40%達成は難しい

これまでの船橋市の接種状況、ワクチン供給状況から考えると、接種対象者の40%完了を8月いっぱいで行うのは難しいことがわかった。その理由は次の通り。

  • 接種キャパシティとしては可能であるが、ワクチン接種予約が再開されず、1日あたり必要数を接種できない
  • ワクチン供給が不足しており、配分計画通り届いても必要数に届かない

ワクチンが予想以上に供給された場合は達成の可能性もあるが、ワクチン接種予約受付が再開されない以上、実現可能性は低いと言わざるを得ない。

https://herafuna.com/wp-content/uploads/2021/07/35a4ecefaa88f0b98177829187cfe4fa.pnghttps://herafuna.com/wp-content/uploads/2021/07/35a4ecefaa88f0b98177829187cfe4fa-150x150.pngherafuna新型コロナワクチン接種最新情報ワクチン接種,ワクチン接種状況これまでの接種状況とワクチン配分計画から考察 菅首相は7月30日、記者会見で8月末までに接種対象者の4割接種完了を目指すと発言した。そこで、船橋市の接種状況とワクチン配分計画からその実現性を考察した。 船橋市の接種キャパシティから考えて可能か これまでの接種状況 船橋市は、7月30日現在下表のような接種状況になっている。1回目の接種が済んでいる人の割合が、ちょうど3割を超えた段階である。2回目まで完了している人は18%程度となっている。 公表日1回目接種数1回目増加数1回目接種割合2回目接種数2回目増加数2回目接種割合7月30日181,5552,48130.99%107,0382,83618.27% 1回目の接種は8月10日までに40%完了している必要 これから8月末までに40%程度完了させるためには、その3週間前までには1回目の接種者の割合が40%に達している必要がある。つまり、8月10日までに1回目の接種が済んでいる人の割合を40%にしなくてはならない。 船橋市によると接種券を発送したのは585,770人である。その40%は234,308人となり、そこから現在までに1回目の接種が終わっている人数を除くと、234,308人-181,555人=52,753人となる。 この52,753人に対し、8月10日までにワクチン接種を終えるとすると、計11日間で接種することになるので1日あたり4,800人に接種が必要となる。 2回目の接種を8月31日までに終えるのは接種キャパシティ上は可能か 一方、2回目の接種は8月31日までに終えればよい。接種すべき人数は234,308人ー107,308人=127,270人。これを8月31までの計32日間で接種することになるので、1日あたり約4,000人に接種すべきという計算となった。 そして、1回目と2回目の接種は同時並行で進めるので、船橋市が必要な接種キャパシティは4,800人(1回目)+4,000人(2回目)=8,800人。これまでの接種の実績をみると、船橋市は7月16日に8,808人の接種を行っている(7/17公表分)。つまり、接種会場のキャパシティとしては対応できる人数であると言える。 ただしあくまでこれまでの最大値からの推測であり、実際に医療関係者が十分確保できるかは未知数である。もちろん、市の接種キャパシティは実際にはもう少し高いことも考えられるので、ここは実績から判断してキャパシティ的には対応可能と考えた。 接種予約再開がすぐに可能かが問題 問題は、ワクチン接種の予約が中断していることである。そのため、直近では1回目の1日あたり接種数が2,500件前後にとどまっており、このペースでは40%には到底届かない。早期に予約を再開することが重要だと考えられる。 ワクチン配分計画から考えて可能か 次に厚労省が発表しているワクチン配分計画から考察する。 船橋市のワクチン供給の現状と見通し これまでの市へのワクチン供給状況は下表の通り。なお、市が「ワクチン供給状況」として示しているのはワクチン入荷時期と接種可能人数(累計)だけであり、接種可能回数や箱数はヘラルド船橋で独自に計算、集計した。また、第10クール以降は厚労省が発表している配分計画に基づいた数値であり、実績ではない。 ワクチン入荷時期令和3年6月21日~令和3年7月5日~令和3年7月19日~令和3年8月2日~令和3年8月16日~クール数第8第9第10第11第12接種可能人数(累計)127,530153,855176,085198,900221,715接種可能回数(累計)255,060307,710352,170397,800443,430接種可能回数22,23052,65044,46045,63045,630箱数(1箱1170回分)194538(予定)39(予定)39(予定) ※箱数は、4月分については1箱975回分で計算。ワクチンは1箱に195バイアル入っていて、1バイアルあたり注射器により5回接種か6回接種ができる。現在は6回接種(195バイアル×6=1170)で計算。 ※厚労省の配分計画は下記から引用 6月4日発表(第9・第10クール:7月分)7月7日発表(第11・第12クール:8月分) 配分計画からは、40%接種完了は困難 厚労省の配分計画通りにワクチンが届いた場合、接種可能人数は8月末時点で221,715人。これは接種対象者の約38%に当たる。つまり、ワクチンが順調に届いてそれをすべて接種したとしても、40%接種は未達となる。 結論:船橋市では40%達成は難しい これまでの船橋市の接種状況、ワクチン供給状況から考えると、接種対象者の40%完了を8月いっぱいで行うのは難しいことがわかった。その理由は次の通り。 接種キャパシティとしては可能であるが、ワクチン接種予約が再開されず、1日あたり必要数を接種できないワクチン供給が不足しており、配分計画通り届いても必要数に届かない ワクチンが予想以上に供給された場合は達成の可能性もあるが、ワクチン接種予約受付が再開されない以上、実現可能性は低いと言わざるを得ない。船橋の今と未来を見つめる総合メディア