船橋市は29日、今年12月に「コロナに負けるな!ふなばしキャッシュレス!最大20%戻ってくるキャンペーン」を開催することを発表した。新型コロナウイルスで影響を受けている市内事業者の経営支援と、非接触型の「新しい生活様式」の一つであるキャッシュレス決済普及を目的としている。

対象決済サービスはPayPayのみ

キャッシュレス決済普及を目的の一つとしているが、今回船橋市がプロポーザルを実施して4社が参加したが、市が受託候補者としたのはPayPayのみだった。プロポーザルの段階では複数の決済サービスを選定することもあるとされていた。

対象店舗は市内にある事業者

対象店舗は市内にある事業者とされ、規模は問わない。大規模小売店も対象となる。市内の店舗で利用すれば、船橋市民以外もポイント還元の対象となる。

還元されるポイントは最大20%

還元されるのはPayPayボーナスで、1回あたり3,000円(利用金額15,000円分)、一人最大15,000円(利用金額75,000円分)まで還元される。1回の金額が15,000円以上になっても還元されるPayPayボーナスは3,000円分となる。

10億円分のポイントで終了

キャンペーン期間は今年12月いっぱいを予定しているが、予算を使い切った段階でキャンペーンは終了となる。船橋市の予算は約10億円分のポイントとなっており、この金額に達した段階でキャンペーン終了となる。逆に予算を使い切らなかった場合(もしくは新型コロナウイルスの影響で延期となった場合)、あらためてキャンペーンを開催する予定。

大型店舗中心に使われるのではないかとの危惧も

今回のポイント還元事業導入について、船橋市議会の補正予算審議において大型店舗中心に使われるのではないかという指摘もあった。それに対し、市商工課長は商店会連合会などを通じて導入と周知を推進するとしている。市は11月11日から22日までに計5回、事業者向けと市民向けのセミナーを実施するとしている。

11月10日までに申し込み・審査完了とならないと12月1日からの対象とならない

しかし、市は「12月1日からキャンペーンの対象店舗となるためには、11月10日までに導入申込みのうえ、審査完了となる必要があります」としている。セミナーの実施時期との整合性が取れていないように感じられる。

なお、11月30日までに審査完了となれば12月17日からキャンペーンの対象となるとされているが、予算消化の状況によっては17日までにキャンペーンが終了している可能性も考えられる。

PayPayを使ってもポイント付与されない場合も

また、PayPayボーナスはPayPay残高・ヤフーカード・PayPayあと払い(一括のみ)で利用した場合のみとなる。ヤフーカード以外のクレジットカードでの支払いの場合は、PayPayボーナス付与の対象外となるので注意が必要。

銀行口座やATMによる入金がメイン

結局、銀行口座を登録するか、セブン銀行ATMなどによるチャージが中心となる。しかし銀行口座を登録するには事前に本人確認が必要となり、その審査には最短で3日間程度かかるなど、すぐに簡単に利用開始とはなかなかいかない。

セブン銀行のATMなどで現金を使ってチャージすることも可能で、これが一番手軽に利用できる方法だと思われる。しかし、現金を使ってわざわざチャージするとなると、市がメリットとしてあげる非接触型決済であることの意味が半減するのではないかとの印象を受ける。

前回進まなかったキャッシュレス決済の導入が進むか

船橋市は昨年、電子マネーを使ったポイント還元事業を行う際、事業者に対してキャッシュレス導入奨励金2万円×500店の予算を用意した。しかし、それに対し申し込みは56件と低調だった。市はランニングコストが重荷となって導入が進まなかったと分析している。

市は今回、利用者を増やすことで導入を促進したいとしているが、PayPay導入でランニングコストがかかる状況に変わりはない。むしろPayPayによる手数料の徴収が始まっており、以前よりも導入の障壁が挙がっているとも捉えられる。

奨励金があっても導入しなかった事業者のキャッシュレス決済導入が、今回のキャンペーンで促進されるか注目していきたい。

https://herafuna.com/wp-content/uploads/2020/05/3310948_s.jpghttps://herafuna.com/wp-content/uploads/2020/05/3310948_s-150x150.jpgherafuna経済行政ニュース船橋市は29日、今年12月に「コロナに負けるな!ふなばしキャッシュレス!最大20%戻ってくるキャンペーン」を開催することを発表した。新型コロナウイルスで影響を受けている市内事業者の経営支援と、非接触型の「新しい生活様式」の一つであるキャッシュレス決済普及を目的としている。 対象決済サービスはPayPayのみ キャッシュレス決済普及を目的の一つとしているが、今回船橋市がプロポーザルを実施して4社が参加したが、市が受託候補者としたのはPayPayのみだった。プロポーザルの段階では複数の決済サービスを選定することもあるとされていた。 対象店舗は市内にある事業者 対象店舗は市内にある事業者とされ、規模は問わない。大規模小売店も対象となる。市内の店舗で利用すれば、船橋市民以外もポイント還元の対象となる。 還元されるポイントは最大20% 還元されるのはPayPayボーナスで、1回あたり3,000円(利用金額15,000円分)、一人最大15,000円(利用金額75,000円分)まで還元される。1回の金額が15,000円以上になっても還元されるPayPayボーナスは3,000円分となる。 10億円分のポイントで終了 キャンペーン期間は今年12月いっぱいを予定しているが、予算を使い切った段階でキャンペーンは終了となる。船橋市の予算は約10億円分のポイントとなっており、この金額に達した段階でキャンペーン終了となる。逆に予算を使い切らなかった場合(もしくは新型コロナウイルスの影響で延期となった場合)、あらためてキャンペーンを開催する予定。 大型店舗中心に使われるのではないかとの危惧も 今回のポイント還元事業導入について、船橋市議会の補正予算審議において大型店舗中心に使われるのではないかという指摘もあった。それに対し、市商工課長は商店会連合会などを通じて導入と周知を推進するとしている。市は11月11日から22日までに計5回、事業者向けと市民向けのセミナーを実施するとしている。 11月10日までに申し込み・審査完了とならないと12月1日からの対象とならない しかし、市は「12月1日からキャンペーンの対象店舗となるためには、11月10日までに導入申込みのうえ、審査完了となる必要があります」としている。セミナーの実施時期との整合性が取れていないように感じられる。 なお、11月30日までに審査完了となれば12月17日からキャンペーンの対象となるとされているが、予算消化の状況によっては17日までにキャンペーンが終了している可能性も考えられる。 PayPayを使ってもポイント付与されない場合も また、PayPayボーナスはPayPay残高・ヤフーカード・PayPayあと払い(一括のみ)で利用した場合のみとなる。ヤフーカード以外のクレジットカードでの支払いの場合は、PayPayボーナス付与の対象外となるので注意が必要。 銀行口座やATMによる入金がメイン 結局、銀行口座を登録するか、セブン銀行ATMなどによるチャージが中心となる。しかし銀行口座を登録するには事前に本人確認が必要となり、その審査には最短で3日間程度かかるなど、すぐに簡単に利用開始とはなかなかいかない。 セブン銀行のATMなどで現金を使ってチャージすることも可能で、これが一番手軽に利用できる方法だと思われる。しかし、現金を使ってわざわざチャージするとなると、市がメリットとしてあげる非接触型決済であることの意味が半減するのではないかとの印象を受ける。 前回進まなかったキャッシュレス決済の導入が進むか 船橋市は昨年、電子マネーを使ったポイント還元事業を行う際、事業者に対してキャッシュレス導入奨励金2万円×500店の予算を用意した。しかし、それに対し申し込みは56件と低調だった。市はランニングコストが重荷となって導入が進まなかったと分析している。 市は今回、利用者を増やすことで導入を促進したいとしているが、PayPay導入でランニングコストがかかる状況に変わりはない。むしろPayPayによる手数料の徴収が始まっており、以前よりも導入の障壁が挙がっているとも捉えられる。 奨励金があっても導入しなかった事業者のキャッシュレス決済導入が、今回のキャンペーンで促進されるか注目していきたい。船橋の今と未来を見つめる総合メディア